第4回 計算は,係数だけを見ると速くなる|全部展開しなくても,答えに行ける

じょん先生はこう教える

■ 3x+2xを,どう計算していますか

高校生の皆さん。

いきなりですが,

3x+2x

を,どのように計算しますか。

「3x たす 2x イコール 5x」

と考えたあなた。

もしかすると,計算に
少し時間がかかっているかもしれません。
途中で符号ミスや書き写しミスをすることも,
少なくないかもしれません。

一方で,

「3 たす 2 で,5x」

と考えたあなた。

かなり速く計算できていると思います。
しかも,あまり計算ミスをしないはずです。

違いは,どこにあるのでしょうか。

前者は,
3x と 2x を,文字まで含めて見ています。

後者は,
x は同じ形だと見て,
係数の 3 と 2 だけを計算しています。

つまり,

3x+2x

で本当に動かしているのは,
x ではありません。

動かしているのは,
前についている数字,つまり係数です。

だから,

3x+2x
=(3+2)x
=5x

と見ればよいのです。

文字はそのまま。
係数だけを見る。

これが,計算を速くする大事な見方です。

■ じょん先生は,式の見方から見る


学校や塾の先生も,
計算が速い先生ほど,
実は係数だけを見て計算していることが多いと思います。

ただ,先生自身にとっては,
それがあまりにも当たり前になっているため,
わざわざ言葉にして教えないことがあります。

3x+2x を見たときに,
「3 たす 2 で,5x」
と見る。

長い式を見たときに,
文字を全部追いかけるのではなく,
同じ形を見つけて,係数だけを見る。

先生自身は,そうやって計算している。

でも,生徒も同じように見ているかどうか。
そこまでは,意外と見られていないことがあります。

じょん先生は,そこを見ます。

答えが合っているかどうかだけではなく,
その子が式のどこを見ているのか。

何を頭の中で処理しているのか。
どこで手が止まるのか。
どこでミスが起きやすいのか。

そこから見ます。

そして,

ここは書いた方がいい。

ここは係数だけを見ればいい。
ここは文字を全部追わなくていい。

というところから教えます。

計算が遅い子は,
努力していないのではありません。

見ている場所が多すぎるだけのことがあります。

まじめに全部書いているのに,
なぜか計算が遅い。
しかも,途中でよく間違える。

一方で,計算の速い子は,
途中式が少ないのに,答えが合っている。

これは,雑に計算しているからではありません。

見ている場所が少ないからです。


見る場所を減らす。
でも,書くべきところは書く。

この切り分けができると,
計算はかなり変わります。

■ 全部展開してから整理しなくてもよい

高校数学では,次のような式がよく出てきます。

(2x³−4x²+3x−1)−(3x³−4x−1)

これを,すべて書き出すと,

(2x³−4x²+3x−1)−(3x³−4x−1)
=2x³−4x²+3x−1−3x³+4x+1
=−x³−4x²+7x

となります。

もちろん,答えは合っています。

でも,毎回すべてを書き出してから
整理していると,
式が長くなるほど時間がかかります。

速く見るなら,係数だけを見ます。

まず,

3x³−4x−1

には,x² の項がありません。

だから,

3x³−4x−1
=3x³+0x²−4x−1

と見ます。

すると,

x³ の係数:2−3=−1
x² の係数:−4−0=−4
x の係数:3−(−4)=7
定数項:−1−(−1)=0

です。

だから,

−x³−4x²+7x

と分かります。

ここで見ているのは,
文字そのものではありません。

見ているのは,

x³ の係数

x² の係数
x の係数
定数項

です。

文字を全部動かさず,
同じ形ごとに係数を見る。

これだけで,かなり計算が整理されます。

■ 省くところと,書くところを分ける


ここで大事なのは,
係数だけを見るというのは,
何でもかんでも頭の中で計算するという意味ではない,
ということです。

かと言って,
すべてを長々と書く必要もありません。

大事なのは,

省いてよいところを省き,書くべきところを書くこと


です。

たとえば,

A=x²+4x−3
B=2x²−x+4

のとき,

A+B+2(A−B)

を計算する問題を考えます。

もちろん,いきなり A や B を代入して
全部展開しても,答えは出せます。

でも,そのまま進めると,
式が長くなり,ミスもしやすくなります。

だから,まず A と B の形のまま整理します。

A+B+2(A−B)
=A+B+2A−2B
=3A−B

ここは,1行だけ途中式を書いた方が安全です。

ここを間違えてしまったら,
あとの努力がすべて無駄になるからです。

その後,

3A−B
=3(x²+4x−3)−(2x²−x+4)

ここからは,係数だけを見ます。

x² の係数は,
3−2=1

x の係数は,
12−(−1)=13

定数項は,
−9−4=−13

だから,
3A−B
=x²+13x−13

となります。

この問題で大事なのは,
最初から最後まで頭の中で処理することではありません。

まず,

A+B+2(A−B)
=3A−B

という形に整理する。

ここは書く。

そのあと,
同じ形の係数を見て計算する。

ここは,全部を書き出さなくてもよい。

ミスしやすいところは書く。

同じ形をまとめるところは,係数だけを見る。

この切り分けができると,
計算は速くなります。
しかも,正確になります。

■ 途中式を書かないことが目的ではない


計算の速い子は,
途中式を書かない子ではありません。

書くべきところを書き,
省いてよいところを省いています。

たとえば,
符号が変わるところ。
かっこの前にマイナスがあるところ。
項が抜けているところ。
式全体の形を整理するところ。

こういうところは,
無理に頭の中で済ませる必要はありません。

むしろ,1行書いた方が安全です。

反対に,
同じ形のものをまとめるだけなら,
文字まで全部追いかける必要はありません。

係数だけを見れば十分です。

つまり,目指すのは,

途中式を全部省く計算


ではありません。

必要なところは書き,

省いてよいところは省く計算

です。

この区別ができているから,
速いのに合っているのです。

■ 高1・高2のうちに身につけたい


この見方は,
高校1年生や高校2年生のうちに身につけておくと,
その後の高校数学でかなり楽になります。

高1で展開や式の整理を学ぶときに,

文字を全部追わない。

同じ形を見つける。
係数だけを見る。

この習慣をつけておく。

それだけで,
計算の負担はかなり減ります。

もちろん,高校3年生にも役立ちます。

ただし,受験期に入ってから急に
今までの計算の型を全部変えるのは,
少し慎重に考えた方がよいと思います。

高3の場合は,
今までのやり方を否定するのではなく,
見直しや確認のための視点として使うのがよいでしょう。

■ 私自身も,いつからそうしていたかは分かりません


正直に言うと,
私自身も,学生時代からいつもそうやって計算していたかどうかは,
はっきり覚えていません。

何せ,家庭教師を始めたのが約30年前です。

たとえば,間違えた問題にしるしをつける
「ふす・ふね・ころも」という方法については,
昔使っていた問題集にその記号が残っています。

ですから,その方法がいつ頃,
自分の中で確立したのかは,
ある程度はっきり分かります。

でも,今回の

「係数だけを見る」

という計算の見方については,
いつからそうしていたのか,はっきり覚えていません。

もしかすると,
学生時代から自然にそうしていたのかもしれません。

あるいは,家庭教師として生徒さんの計算を見るようになってから,

「これは係数だけを見た方が速いな」

と意識するようになったのかもしれません(笑)。

ただ,今ははっきり言えます。

同じ形を見つけて,
係数だけを見る。

この見方があるだけで,
高校数学の計算はかなり楽になります。

■ まとめ


計算は,全部を展開してから整理するだけではありません。

同じ形を見つける。
文字はそのままにする。
係数だけを見る。

そして,ミスしやすいところは書く。

この切り分けができると,
計算は速くなります。
しかも,正確になります。

次回は,この見方をもう一歩進めます。

たすき掛けも,
文字ではなく係数だけで見る。

展開の段階から真ん中の係数を見ることで,
因数分解にもつながる考え方を扱います。

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