「やる気が出たら,あとでやる」
そう思っているうちに,
時間だけが過ぎてしまうことがあります。
宿題は,やり始めてしまえば意外と進む。
でも,始めるまでが長い。
伸びる子は,
やる気が出るのを待ってから始めるのではなく,
まず動き始めることが多いです。
面倒でも,とりあえずワークを開く。
最初の一問だけやる。
その小さな開始が,勉強を動かします。
■ なぜ「あとで」が長引くのか
学校から帰ってきて,少し休む。
おやつを食べる。
スマホを見る。
そして,「あとで宿題やる」となります。
ところが,その「あとで」が,なかなか来ません。
そこで親も,「早くやりなさい」と言いたくなります。
でも,本人も分かっています。
やらないといけない。
分かっているけれど,
始められない。
ここで困っている子は,
案外多いと思います。
■ 「まだやらないの?」が,逆効果になることもある
子どもがなかなか始めないと,
「まだやらないの?」
と言いたくなることがあります。
でも,
その一言が,
かえってやる気を下げてしまうこともあります。
この点については,
第14回:「まだやらないの?」|やる気を消してしまう声かけ
でも取り上げました。
急かすより,
「最初の1問だけやってみたら?」
くらいの方が,
始めやすいことがあります。
今回は,その先の,
「どうしたら始められるか」
を考えてみます。
■ 伸びる子は,「やる気が出てから」始めていない
勉強を始められる子を見ていると,
いつもやる気満々というわけではありません。
むしろ,
やる気がなくても,とりあえず始める
ことができます。
数学のワークを開く。
英単語を5個だけ見る。
プリントを机の上に出す。
それだけです。
この点については,
「やる気が出たら勉強する」は逆?|勉強が動き出す小さな順番
というコラムでも書きました。
やる気が出るのを待つのではなく,
小さく動き始めることで,
あとから気持ちがついてくることがあります。
だから私は,
やる気より,開始
の方が大切だと思っています。
■ 「全部やりなさい」より,「まず開いてみたら?」
ここで,
伸びる子の親あるあるです。
子どもがなかなか宿題を始めない時,
「全部終わらせなさい」
と言うより,
「とりあえず開いてみたら?」
と言う。
あるいは,
「最初の1問だけやってみたら?」
「5分だけやってみたら?」
と,
始めるハードルを下げます。
「数学のワークを10ページやる」
と思うと重たい。
でも,
「ワークを開く」
ならできます。
大きな課題も,
最初の一歩まで小さくすると,
動きやすくなります。
■ 早く終わらせることばかり考えると
もう一つ,
気をつけたいことがあります。
宿題を,
「とにかく早く終わらせるもの」
と考え過ぎると,
途中式を省いたり,
字が雑になったり,
答えだけを書いたりして,
あまり効果のないやり方
になっていることがあります。
早く終わること自体が悪いわけではありません。
でも,
速さのために,考える過程まで省いてしまう
のは,
もったいない。
宿題は,
終わらせるためだけにあるのではなく,
できるようになるためにある。
だから,
「何分で終わったか」
だけではなく,
「どんなやり方で取り組んだか」
にも目を向けたいところです。
■ 「早く終わったね」より,「すぐ始められたね」
子どもが宿題を早く終わらせた時,
「早かったね」
と褒めることがあります。
もちろん,
それもいいと思います。
でも私は,
始められたこと
にも目を向けてほしいと思います。
例えば,
「今日は帰ってから,すぐ始められたね」
「面倒そうだったけど,ちゃんと机に向かったね」
そんな声かけです。
早く終わるかどうかは,
問題の難しさによって変わります。
でも,
始めることは,自分で選べます。
■ 終わる時刻より,始める時刻
「いつやる?」
と毎日考えるのも,
意外と疲れます。
ですから,
始める時刻やきっかけを,ある程度決めておく
のも一つの方法です。
例えば,
「18時から勉強する」
ではなく,
「18時になったら,数学のワークを開く」
と決める。
大切なのは,
「何時までに全部終わらせるか」
だけではありません。
むしろ,
「いつ,最初の一歩を踏み出すか」
を決めておく。
終わる時刻より,
始める時刻。
これだけで,
家庭学習が安定することがあります。
■ 親が毎日エンジンをかけなくてもいいように
小さいうちは,
「宿題やった?」
「そろそろ始めようか」
という声かけが必要なこともあります。
でも,
ずっと親がエンジンをかけ続けるわけにはいきません。
いつかは,
自分で始められる人
になっていく必要があります。
だから家庭では,
宿題を全部見張るより,
「どうしたら始めやすくなるかな」
を一緒に考える。
教材を出しておく。
机の上を整える。
始める時刻を決める。
最初の1問だけやる。
そうやって,
始めるための仕組み
を作っていく。
それも,
伸びる子を支える親の関わり方だと思います。
■ 宿題で大切なのは,「速さ」より「開始」
宿題を30分で終わらせる子。
1時間かかる子。
時間だけを比べても,
あまり意味はありません。
大切なのは,
自分で始められたか。
そして,
丁寧に取り組めたか。
そこだと思います。
親ができるのは,
「早く終わらせなさい」
と急かすことより,
「まず,始めてみようか」
と,
最初の一歩を小さくしてあげること。
そして,
終わった速さだけでなく,
どう取り組んだかを見ること。
伸びる子の親は,
始められた瞬間も,
取り組んでいる過程も,
ちゃんと見ています。

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