テストが返ってきたあと,訂正ノートを作ることになりました。
平均点以上のお子さんの場合,
訂正ノートがすぐに終わってしまうことがあります。
間違えた問題が少ない。
解説を読めば,すぐに分かる。
正しい答えも,すぐに書ける。
親としては,少し安心します。
「よかった。今回はそんなに直すところが多くないね。」
子どもも言います。
「もう終わったよ。」
ここまでなら,とても良いことです。
ところが,ここで家庭学習名物,
「できる子の訂正ノート,すぐ閉じる問題」
が起こることがあります。
正しい答えを書いたら,そのままノートを閉じてしまう。
もちろん,それでも悪くはありません。
でも,平均点以上のお子さんの場合,
訂正ノートをそこで終わらせるのは,
少しもったいないのです。
第11回では,訂正ノートを“写して終わり”にしない
基本をお話ししました。
第12回では,間違えた問題を全部直すのではなく,
点数につながる問題を選ぶことをお話ししました。
では,平均点以上のお子さんは,
訂正ノートをどう使えばよいのでしょうか。
大切なのは,
直して終わりではなく,広げて終わることです。
■ 正解を書いて終わるのは,もったいない
平均点以上のお子さんは,
間違えた問題を見直せば,すぐに理解できることが多いです。
「ああ,ここで符号を落としただけか。」
「この条件を使えばよかったのか。」
「この公式を使う問題だったのか。」
自分で気づけるのは大きな力です。
ただ,正しい答えを書いて終わるだけだと,
訂正ノートは「確認ノート」で止まってしまいます。
平均点以上のお子さんにとって,
訂正ノートはもう一歩進められます。
同じ問題でも,別の解き方はないか。
もっと短く考えられないか。
図で説明できないか。
式ではなく,言葉で説明できないか。
こうした見方を一つ加えるだけで,
訂正ノートの価値は大きく変わります。
■ できる子は,正解した問題も使う
このやり方は,間違えた問題だけに限りません。
正解した問題の中にも,まだ伸ばせる材料があります。
答えは合っていたけれど,別の解き方でもできるのか。
もっと短く考える方法はなかったのか。
たまたま合っただけで,本当に説明できるか。
問題文のどこを見て,その解き方を選んだのか。
こうした問題も,見直す価値があります。
訂正ノートを「間違えた問題を直す場所」だけにしておくのは,
少しもったいない使い方です。
■ 別解を書くと,応用がききやすくなる
できる子ほど,一つの解き方で満足してしまうことがあります。
もちろん,一つの解き方で正解できるのは立派です。
でも,応用問題や入試問題では,いつも同じ入り口から解けるとは限りません。
ある問題では式で考える。
別の問題では図で考える。
さらに別の問題では,条件を言葉で整理する。
いくつかの見方を持っている子どもは強いです。
訂正ノートには,正しい答えを書いたあとに,こう書いてみます。
「別の解き方はないか。」
「図で説明できるか。」
「もっと短く考えるならどうするか。」
「なぜこの解き方でよいのか。」
全部を書く必要はありません。
一つで構いません。
でも,この一つがあとで効いてきます。
別解を書くことは,ただ難しいことをするためではありません。
問題を見る角度を増やすためです。
■ 自分で似た問題を作ってみる
さらにおすすめしたいのが,自分で似た問題を作ることです。
数字だけを変えてみる。
条件を少し変えてみる。
求めるものを変えてみる。
問題と答えを逆にしてみる。
図の形を変えてみる。
こうして,自分で類題を作ります。
そして,その答えも自分で出してみます。
実際にやってみると,意外と難しいものです。
数字を適当に変えたら,答えが変な分数になる。
条件を少し変えたら,問題として成り立たなくなる。
求めるものを変えたら,急に難しくなる。
そこで初めて,
出題者がなぜその数字を選んだのか,
なぜその条件を入れたのかが見えてきます。
問題を解く側から,問題を作る側に少し回ってみる。
これは,かなり勉強になります。
■ 出題者の目線を持つ
問題を作ってみると,解く時の見え方も変わってきます。
「この条件は,どこかで使うために入っているな。」
「この数字は,計算がきれいになるように選ばれているのかな。」
「ここで符号を間違えさせようとしているのかもしれない。」
「この言い方は,読み飛ばすと危ないな。」
このように,出題者の目線を少し持てるようになります。
ただ問題を解いている時は,
目の前の式や答えばかりを見がちです。
でも,問題を作る側の視点を少し持つと,
問題文の条件や数字の選び方にも目が向きます。
すると,初めて見る問題でも,
「どこを見ればよいか」
が分かりやすくなります。
これは,平均点以上のお子さんが,
さらに上を目指す時にとても大切な力です。
■ 予想問題を作った経験
当時,私の中学校では,テスト前に班ごとに
全教科の予想問題を作る取り組みがありました。
正直なところ,
そこまで意味のあることだとは思っていませんでした。
でも,“数学班”のメンバーとして
自分で問題を作ろうとすると,意外と難しいのです。
答えがきれいになるようにするには,どんな数字を選べばよいのか。
ひっかけ問題にするなら,どこに条件を入れればよいのか。
簡単すぎず,難しすぎない問題にするには,どこを調整すればよいのか。
そう考えながら作ること自体が,とても良い勉強になっていました。
今なら,その意味がよく分かります。
問題を作るには,その問題を深く理解していなければなりません。
ただ解けるだけでは,よい問題は作れません。
どこが大事なのか。
どこで間違えやすいのか。
どの条件が必要なのか。
そこまで考える必要があります。
だから,問題を作ることは,かなり深い復習になるのです。
■ 「訂正ノート」から「解き直しノート」へ
別解を考える。
自分で似た問題を作る。
出題者の目線で見直す。
ここまで来ると,
もはや「訂正ノート」や「間違い直しノート」
という名前では,少し狭く感じます。
間違えた問題を直すだけではなく,
正解した問題ももう一度見直し,
別解を考え,
自分で似た問題を作り,
出題者の目線で眺めてみる。
そう考えると,これはむしろ,
「解き直しノート」
と呼んだ方が近いかもしれません。
「間違いを消すノート」から,
「応用力を育てるノート」へ変わるのです。
■ 伸びる家庭では,「もう終わった」で終わらせない
伸びる家庭では,
できる子に対しても,
ただ勉強の量を増やすだけではありません。
「もう終わったのなら,もう1問やりなさい。」
と言うだけでは,勉強がただの追加作業になってしまいます。
大切なのは,
量を増やすことではなく,見方を増やすことです。
たとえば,こう声をかけます。
「別の解き方はありそう?」
「この問題,数字を変えたらどうなる?」
「この問題を少し難しくするなら,どこを変える?」
「出題者は,どこで間違えさせようとしていると思う?」
このように聞くと,子どもは問題を少し違う角度から見始めます。
正解したかどうかだけでなく,どう考えたか。
別の見方はあるか。
次に似た問題が出たら,どこに注意するか。
そこまで考えられるようになります。
■ 今日からやるなら,1問だけ広げる
最初から全部の問題で,
別解を書いたり,自作問題を作ったりする必要はありません。
今日からやるなら,訂正ノートの中から1問だけ選んでください。
間違えた問題でも構いません。
答えは合っていたけれど,少し気になる問題でも構いません。
正解を書いて終わりではなく,別解を書く。
似た問題を作る。
出題者の目線を持つ。
そこまでできると,
訂正ノートは,応用力を育てる解き直しノートに変わります。
第13回 できる子の訂正ノートはここが違う|別解と自作問題で応用力を伸ばす
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