第18回 問題集を何周すればいい?|「ふす・ふね・ころも」復習法

第11回~第20回

「この問題,何回やればいいの?」

子どもに聞かれて,

「とりあえず3回かな」

と答えたことはないでしょうか。

でも,本当に大切なのは,

何回やったかではありません。

間違えた問題が,自分一人でできるようになったか。

そこまで取り組むことです。

■ 「3回やったから,もう終わり」

家庭学習で,こんな会話はないでしょうか。

「このページ,何回やったの?」

「3回」

「じゃあ,もうできるよね?」

ところが,少し数字を変えて出されると,

「……これ,習った?」

となります。

親としては,

「さっきやった問題と同じでしょ」

と言いたくなります。

子どもからすれば,

「同じように見えるけど,同じ問題ではない」

のかもしれません。

そして,親子そろって問題集を見つめます。

問題集は,何も答えてくれません。

■ 回数を目標にすると,終わらせることが目的になる

「この問題集を3周する」

という目標は,分かりやすいものです。

ただ,子どもにとっては,

「3周すれば終わり」

という意味になることもあります。

すると,

1周目より2周目,

2周目より3周目と,

だんだん途中式が減り,

最後には答えだけを書くようになる。

回数は増えているのに,

学習の中身は薄くなっていきます。

これも,家庭学習ではよくある光景です。

回数を決めることが悪いのではありません。

大切なのは,できなかった問題ができるようになったかです。

■ 正解した問題まで,毎回やり直さなくてよい

問題集を繰り返すとき,

「毎回,最初から全部やり直さなければならない」

と思っている子もいます。

しかし,一度できた問題まで毎回解いていると,

時間がかかります。

本当に練習が必要な問題にたどり着く前に,

疲れてしまうこともあります。

2周目からは,

1周目に間違えた問題だけをやればよいのです。

そこでまた間違えたら,

その問題だけを次の周でもう一度やる。

こうして,

できない問題だけを少しずつ絞り込んでいく

方が,効率よく復習できます。

では,どの問題をもう一度やればよいのか。

それが一目で分かるように,

印のつけ方を工夫することもできます。

■ 私が高専生の時に考えた印

ここで,私が高専生の時に使っていた方法をご紹介します。

1周目に問題を解き,

間違えた問題や,できなかった問題には,

「フ」

と書きます。

2周目は,

「フ」のついた問題だけを解きます。

正解できたら,

その「フ」を丸で囲みます。

丸で囲まれていれば,正解済み。

丸で囲まれていなければ,まだ正解できていない。

2周目でも間違えたら,

「フ」に一筆書き足して,

「ス」

にします。

3周目は,

「ス」のついた問題だけを解きます。

そこで正解できたら,

「ス」を丸で囲みます。

それでも間違えたら,

さらに一筆書き足して,

「不」

にします。

その後も間違えるたびに,

フ → ス → 不 → ネ → 衤

と,印に一筆ずつ加えていきます。

フ・ス・不・ネ・衤。

この順番を覚えなくても,
前の印へ一筆ずつ足していけば,
自然に次の形になります。

このコラムでは,この並びを
「ふす・ふね・ころも(伏す・舟・衣)」
と呼ぶことにします。


最後は,「衣」が偏になった「ころもへん」の形です。

そして,どの段階でも,

正解できたらその記号を丸で囲みます。

つまり,

丸のない印は再挑戦,丸で囲んだ印は正解済みです。

■ 最初から,この形だったわけではありません

実は,以前は,一画ずつ書き足して
「正」の字にする方法を使っていました。

ただ,2回目で正解すると,
最初の横線だけが残ります。

問題集の中では,
その横線が見つけにくいことがありました。

そこで,できなかった問題には,

「不可」

と書くようにしました。

でも,毎回「不可」と書くのは少し面倒です。

そこで,「可」を省いて,

「不」

だけにしました。

それでも,もっと簡単に書けないかと考え,

カタカナの

「フ」

だけを書くことにしました。

たいていの問題は,

2回目に解けばできるようになります。

ところが,2回目にも間違える問題がありました。


そのとき,「フ」に一筆加えて,

「ス」にしてみました。

そして,3回目に正解したとき,

その「ス」を丸で囲みました。

すると,丸で囲まれた「ス」が,

「済みのス」

のように見えました。

「これなら,正解できた問題と,

まだできていない問題を区別できる」

と気付いたのが,この方法の始まりです。

当時の私は,

「これは,すごい発見!」

と,自分なりに思っていました。

それから,

「ス」の次は「不」,

「不」の次は「ネ」,

「ネ」の次は「衤」と,

間違えるたびに一筆ずつ増やしていきました。

ただバツを重ねるのではなく,

印が少しずつ別の文字に変わっていく。

そして,正解できたら丸で囲む。

私は,少し楽しみながら

間違えた問題に取り組んでいました。

■ 丸で囲まれるまでが,その問題の復習

この方法では,

「問題集を3周する」

とは決めません。

一度で正解した問題は,

2周目に解く必要はありません。

2回目で正解できたなら,

丸で囲まれた「フ」で終了です。

3回目でできたなら,

丸で囲まれた「ス」で終了。

何度も間違えた問題だけが,

次の周に残っていきます。

つまり,繰り返す回数は,

問題ごとに違います。

大切なのは,

決めた回数をこなすことではなく,

丸で囲まれるまで取り組むこと

です。

■ 何度やってもできないなら,回数を増やさない

ただし,何度やっても同じところで間違える場合は,

その問題をさらに繰り返せばよいとは限りません。

・解説の意味を理解できているか

・途中式を省いていないか

・一つ前の単元で止まっていないか

・問題文の意味を正しく読めているか

を確認した方がよいこともあります。

分数の計算で何度も間違えていた子が,

実は約分を理解していなかった。

方程式を繰り返しても解けなかった子が,

実は正負の数の計算で止まっていた。

このようなことは,珍しくありません。

同じ問題を10回やるより,

一つ前の土台に戻った方が,早く進むこともあります。

■ 伸びる子の親は,「何回?」より「できた?」を見る

「何回やったの?」

と聞くと,

子どもは回数を答えます。

でも,

「前に間違えた問題,今日はできた?」

と聞くと,

自分の変化に目を向けやすくなります。

問題集を繰り返す目的は,

同じページを何度も終わらせることではありません。

間違えた問題を見つけ,

できる問題に変えていくことです。

ですから,

同じ問題を何回やるかを先に決めるのではなく,

正解できるまで取り組む。

そして,印のつけ方を工夫すれば,

復習は少し分かりやすく,

少し楽しいものにもなります。

今日から使える一言は,

「何回やった?」ではなく,

「前に間違えた問題,できるようになった?」

ですね。

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