場合の数で,多くの子どもがつまずきやすいのが「和の法則」と「積の法則」です。
■ 普通の説明だけでは,腑に落ちないことがある
普通は,
「または」は和の法則。
「かつ」は積の法則。
と説明されます。
高校では,
同時に起こらない場合は和の法則。
同時に起こる場合は積の法則。
と説明されることもあります。
もちろん,どちらも間違いではありません。
でも,それだけでは何となく腑に落ちない子もいます。
特に和の法則と積の法則は,
その区別があいまいなままだと,
あとから場合の数全体が分かりにくくなります。
■ まずは,場面で考える
だから私は,最初から法則を教えるのではなく,
まず具体的な場面で考えてもらいます。
ワイシャツが3色,セーターが2色あります。
A君は,ワイシャツもセーターも,両方着ます。
B君は,服がゴワゴワするのが嫌なので,
ワイシャツかセーターのどちらか1枚しか着ません。
二人の服の着こなし方は,それぞれ何通りでしょうか。
■ A君は,どっちも着る
A君について,私は先に
「これはかけ算です」
とは言いません。
まず,
「A君は何通り?」
と聞きます。
6通りという答えは簡単に出ます。
そこで,
「その6通りは,どんな計算で出した?」
と聞きます。
3×2=6
です。
では,なぜ3+2ではないのでしょうか。
A君は,ワイシャツを選び,セーターも選びます。
2つのことが,どっちも起こるからです。
だから,かけ算になります。
■ B君は,どっちかだけ着る
一方,B君は服がゴワゴワするのが嫌なので,
ワイシャツかセーターのどちらかしか着ません。
ワイシャツを着る場合は3通り。
セーターを着る場合は2通り。
答えは5通り。
計算にすると,
3+2=5
です。
では,なぜ3×2ではないのでしょうか。
B君は,ワイシャツか,セーターか。
2つのことのうち,どっちかが起こるからです。
だから,たし算になります。
■ ここがポイント
どっちも起こるなら,かけ算。
どっちかが起こるなら,たし算。
これが,和の法則と積の法則の根本的な違いです。
■ コートが増えたらどうなるか
さらに,コートが2種類増えたらどうでしょうか。
A君は,ワイシャツも,セーターも,コートも着ます。
3つのことが,どれも起こるので,
3×2×2=12通り
です。
では,B君はどうでしょうか。
コートが増えても,B君はやはり服がゴワゴワするのが嫌です。
そのため,着るのは1枚だけです。
ワイシャツか。
セーターか。
コートか。
3つのことのうち,どれかが起こるので,
3+2+2=7通り
です。
2つなら,
どっちも起こるか。
どっちかが起こるか。
3つ以上なら,
どれも起こるか。
どれかが起こるか。
こう整理すると,
和の法則と積の法則はかなり見分けやすくなります。
■ 例題の設定にも理由があります
ちなみに,この例題の設定にも理由があります。
もし,最初の設定で,
ワイシャツが3色。
ズボンが2本。
としてしまうと,B君のケースで,
「ワイシャツかズボンのどちらかしか着ません」
という,おかしな状況が生まれてしまいます。
ズボンをはかずに外出する人が出てきてしまうからです。
そうなると,子どもは数学ではないところが気になってしまいます。
だから今回は,重ね着ができる「ワイシャツとセーター」にしました。
また,A君には特別なキャラクターを付けていません。
A君は,普通に服を重ねて着る人です。
その方が,B君の「ゴワゴワするのが嫌なので1枚しか着ない」
という設定が分かりやすくなります。
例題では,目立たせるところを1つに絞ることも大切です。
■ 覚える前に,わかる
私は,言葉を丸暗記する前に,
「なぜたすのか」
「なぜかけるのか」
を一緒に整理する授業を大切にしています。
場合の数が苦手。
数学の文章題で手が止まる。
解き方は覚えたのに応用できない。
「できない」のではなく,
まだ整理のしかたを教わっていないだけかもしれません。
第1回 和の法則と積の法則|「どっちか」ならたし算,「どっちも」ならかけ算
オンライン家庭教師
コメント