「スマホをやめなさいと言っても聞かない」
「取り上げたら,もっとひどくなった」
そんな悩みをお聞きすることがあります。
スマホを持ち始める時期は,
子どもが親から少しずつ独立したいと感じ始める時期と重なります。
この時期にこれまでと同じように管理しようとすると,
子どもの自立心とぶつかります。
反発が強くなるのは,
ある意味,自然なことなのです。
■ 取り上げるだけでは長続きしない
多くの家庭では,
時間制限や取り上げによって,
スマホをコントロールしようとします。
もちろん,必要な場面もあります。
ただ,それだけでは長続きしにくいのです。
ルールが,
親から一方的に与えられたものになりやすいからです。
子ども自身の納得がないルールは,
親の目が届かない場面で崩れやすくなります。
すると,親はさらに強く言う。
子どもはさらに隠す。
この繰り返しが,
いわゆる「スマホ戦争」になっていきます。
■ 家庭のルールは「契約」に近い
うまくいっている家庭で見られるのは,
管理よりも「契約」に近い考え方です。
といっても,
立派な書類を作るという意味ではありません。
親子が対等という意味でもありません。
ここでいう契約の当事者は,
親と子どもです。
スマホの安全面や費用面に責任を持つのは,親です。
決めたルールを理解し,実行するのは,子どもです。
つまり,親が一方的に命令するのでもなく,
子どもが好きなように決めるのでもありません。
大切なのは,
「何を守るか」
「いつまで守るか」
「守れなかった時はどうするか」
という条件を,
親子であらかじめはっきりさせておくことです。
たとえば,
「夜10時以降は,スマホをリビングで充電する」
「宿題が終わる前は,動画アプリを開かない」
「守れなかった翌日は,使用時間を短くする」
こうしたルールを,
その場の怒りで決めるのではなく,
落ち着いている時に決めておくのです。
また,スマホのルールは,
他の家庭と比べてもあまり意味がありません。
「○○君の家はこうなのに」
と言われても,
生活時間も,学習状況も,家庭ごとの責任も違います。
大切なのは,
よその家に合わせることではなく,
自分の家庭で守れるルールを決めることです。
ただし,話し合いのつもりが,
親の方が真剣になりすぎて,
「何時まで見てたの?」
「何を見てたの?」
「なんで約束を守れなかったの?」
と,いつの間にか取り調べのようになることがあります。
すると子どもは,
「あ,また始まった……」
と身構えてしまいます。
これもまた,
子どものことを心配する熱心な親御さんの
「あるある」かもしれません。
大切なのは,
犯人を見つけることではありません。
次に守れる仕組みを,
親子で一緒に作ることです。
スマホの話し合いは,
取り調べではなく,作戦会議です。
■ スマホは,家庭全体に影響する道具
子どもが自由に使いたい気持ちは,
もちろん自然なものです。
でも,スマホは,
動画,ゲーム,SNS,お金のやり取りまで含む道具です。
生活リズムや学習時間,
人間関係にも影響します。
スマホは,ただ遠ざけるものではなく,
少しずつ使いこなす練習が必要な道具です。
だからこそ,
家庭でルールを決める必要があります。
ルールは,
子どもを縛るためだけのものではありません。
安全を守りながら,
少しずつ自由を広げていくためのものです。
■ 信頼は,約束を守ることで増えていく
信頼関係は,銀行の融資に少し似ています。
きちんと返済を続ければ,
信用が積み上がり,融資枠は広がります。
約束を破れば,
信用は下がり,任せられる範囲も小さくなります。
親子関係も同じです。
小さな約束を守ることで,
「この子なら,少し任せても大丈夫」
と思える範囲が広がっていきます。
逆に,約束が何度も崩れるなら,
任せる範囲を一度小さくする必要があります。
これは罰ではありません。
信用をもう一度積み直すための調整です。
■ 問題は意志ではなく,仕組み
もし今,
「言ってもスマホが止まらない」
と感じているなら,
それは子どもの意志だけの問題ではないかもしれません。
家庭の仕組みが,
少し「管理型」に偏っている可能性があります。
まずは一度,
親子で「契約のテーブル」に着いてみる。
といっても,
立派な契約書は必要ありません。
「何時まで使うか」
「守れなかった時はどうするか」
「次にどうすれば守れるか」
この3つを確認するだけでも,
スマホをめぐる会話は変わり始めます。
スマホ戦争を静かに終わらせる第一歩は,
取り上げることではなく,
「次はどうすれば守れるか」を
一緒に考えることから始まるかもしれませんね。

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