今週のテーマ: 勉強用プレイリスト:音楽は集中力を高めてくれますか?
「音楽を聴きながら勉強してもいいですか?」
これは,指導の現場で時々聞かれる質問です。
私の答えは,
「使い方しだいです」
です。
音楽そのものが悪いわけではありません。
気持ちを落ち着かせたり,
勉強を始めるスイッチを入れたりする効果があるのも事実です。
ただし,深く考える勉強における音楽は,
基本的にはおすすめしません。
特に,歌詞のある音楽を聴きながら,
読解問題や数学の応用問題に取り組むのは,
かなり相性が悪いと思っています。
ちなみに私個人としては,
勉強する時に音楽は一切聴きません。
静かな環境の方が,
自分の思考に集中しやすいからです。
■ 音は,自分で思う以上に脳に残る
なぜ広告には音楽が使われるのでしょうか。
なぜ短いサウンドロゴが繰り返し流されるのでしょうか。
それは,音が記憶や感情に残りやすいからです。
自分では,
「聞き流しているだけだから大丈夫」
と思っていても,脳のリソースの一部は,
知らないうちに音の処理に使われていることがあります。
だからこそ,勉強中に流す音には慎重になる必要があります。
音楽を聴いている本人は,
「集中できている」と感じているかもしれません。
でも実際には,
集中しているのではなく,
気分がよくなっているだけの場合もあります。
この違いは,とても大切です。
■ 音楽が「邪魔」になりやすい勉強
次のような,言葉や論理を扱う勉強では,
音楽は原則として止めた方がよいと思います。
英文や国語の読解。
数学の応用問題など,条件整理が必要なもの。
新しい単元の概念理解。
暗記した内容を思い出す練習やアウトプット。
こうした学習では,
頭の中で「言葉」や「論理」を組み立てなければなりません。
そこへ歌詞のある音楽が入ってくると,
「勉強の言葉」と「音楽の言葉」が脳内でぶつかります。
その結果,
問題文を読んでいるつもりでも,
内容が頭に入りにくくなることがあります。
数学でも同じです。
条件を整理し,式を立て,
途中式の意味を考える場面では,
頭の中に静かなスペースが必要です。
そのスペースに音楽が入り込むと,
思考が浅くなってしまうことがあります。
■ 音楽が「味方」になる場面
一方で,音楽がプラスに働く場面もあります。
単純な計算練習やドリル形式の反復。
ノートの清書や整理。
机の片づけ。
すでに解き方が定着している問題演習。
勉強を始める前の「やる気スイッチ」。
こうした場面では,
音楽が気持ちを整える助けになることがあります。
特に,なかなか机に向かえない子にとっては,
好きな音楽が「始めるきっかけ」になることもあります。
ただし,大切なのはここです。
本当に理解したい時。
本当に考え抜きたい時。
本当に覚えたか確かめたい時。
その瞬間だけは,
思い切って音楽を止める勇気を持ってください。
音楽を完全に禁止する必要はありません。
でも,
「考える時間」と「気分を整える時間」は,
分けた方がよいのです。
■ じょん先生流:おすすめの使い分け
私がおすすめしているのは,
時間を区切った「サンドイッチ方式」です。
勉強前。
好きな音楽でテンションを上げ,気持ちを整える。
勉強中。
無音,または歌詞のない環境音・クラシックにする。
休憩中。
好きな音楽を思い切り楽しむ。
つまり,音楽は流し続けるものではなく,
「勉強の世界に入る前と,出た後に上手に使うもの」
と考えるのです。
いつ聴くかを決めるだけで,
集中のしやすさは大きく変わります。
親御さんが声をかけるなら,
「音楽を消しなさい」
よりも,
「考える問題の時だけ,いったん止めてみようか」
このくらいの言い方がおすすめです。
音楽そのものを否定されると,
子どもは反発しやすくなります。
でも,
「使い分けよう」
という提案なら,受け入れやすくなります。
■ 集中できない原因は,音楽だけではない
ただ,音楽を止めて静かにしても,
どうしても集中できないことがあります。
その場合,原因は環境ではなく,
「学習の設計」にあるかもしれません。
問題の難易度が,今の実力と合っていない。
何から手をつければよいか,手順が不明確。
復習すべきポイントがズレている。
「時間」だけ決めて,「ゴール」が決まっていない。
こうした状態では,
どんなに静かな部屋にいても,
脳は勉強に入りにくくなります。
お子さんが音楽を欲しがるのは,
実は「勉強のしんどさ」をやわらげるための反応であることもあります。
そんな時,焦って音楽を取り上げる前に,
まずは「学習の中身」がその子に合っているかを
確認してあげてください。
今の問題は難しすぎないか。
何をすればよいか分かっているか。
終わりの目標は見えているか。
分からないまま,ただ時間だけが過ぎていないか。
ここを見るだけでも,
子どもの集中は変わっていきます。
そして,隣で静かに見守っている親御さんは,
それだけで十分にお子さんの支えになっています。
■ 静かな時間を「味方」にするために
勉強の中身と順番を整えれば,
音楽に頼らなくても,自然と没頭できる時間は増えていきます。
「音楽がないと落ち着かない」
「机に向かっても,なかなかペンが進まない」
「勉強時間は長いのに,成果に結びつかない」
そう感じる方は,
一度,学習の流れを整理してみるとよいかもしれません。
25分の体験レッスンでは,
「音楽が必要かどうか」だけでなく,
ノートの取り方,問題に向かう順番,復習の仕方まで見ながら,
集中しにくくなっている本当の原因を一緒に整理します。
音楽を止めるかどうかの前に,
まずは「勉強に入りにくくなっている理由」を見つけること。
そこが分かるだけでも,
お子さんの学習はかなり整いやすくなります。


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