ゴールデンウィークや休みの日。
「休みなんだから勉強しなさい」
親として,そう言いたくなる気持ちはよく分かります。
言っていること自体は,間違っていません。
でも,返ってくる言葉は,
なんとなく予想できます。
「今やろうと思ってたのに,やる気なくなった」
もちろん,親に悪気はありません。
だからこそ,この問題はやっかいなのです。
問題は,内容ではありません。
タイミングです。
夫婦喧嘩の始まりと同じですね。(笑)
長年,リアルな教育現場で多くの子どもたちと向き合ってきて,
はっきり分かったことがあります。
朝は,子どもを動かす時間ではないということです。
では,朝は何のための時間なのか。
答えはシンプルです。
やらせるためではなく,
見極めるための時間です。
■ 「おはよう」は最高の診断ツール
伸びる子の家庭では,
挨拶を単なるマナーとは考えていません。
今日の子どもの心の状態を確認する,
小さな診断ツールとして使っています。
「あれ,今日は少し声が小さいな」
「目が合わないな」
「昨日より表情が重いな」
こうして,コンディションを静かに把握する。
親の仕事は,まずここまでです。
「おはよう」の直後に,
「今日は何時間やるの?」
「宿題は終わってるの?」
と聞きたくなる気持ちは,ぐっと心の中にしまっておきます。
朝一番で「義務」を突きつけられると,
子どもの表情から生気がすっと消えてしまうことがあります。
■ 安心感が,自走のエネルギーになる
もし,
「今日はやる気がなさそうだな」
と感じたら,どうすればよいのでしょうか。
説教でも,強制でもありません。
おすすめは,
「時間ではなく,やる個数」と,
「やめる権利」をセットで提案することです。
たとえば,
「計算,3問だけやってみない?
そこで気が乗らなかったら,やめてもいいよ」
不思議なことに,
これで1ページやり遂げてしまう子は少なくありません。
そんな時は,最大の賛辞を送ります。
ただし,ここで,
「その調子で次も!」
と追い込まないことが大切です。
ここで欲を出すと,
子どもは「結局やらされた」と感じてしまいます。
せっかく自分で動き始めた気持ちが,
元に戻ってしまうのです。
もし区切るなら,
「今日はここまでにしよう。
その代わり,残りを何曜日にやるか,自分で決めてごらん」
このくらいがちょうどよいです。
「自分で決めた」
この納得感が,
次の自走を支えるエネルギーになります。
■ 自分そのものを認めてもらえる場所
子どもが動くか,止まるか。
その分かれ目は,
たった一言で変わることがあります。
今年,こんなことがありました。
テストの平均が10点ほどだったお子さんが,
初回レッスンの晩,自分から,
「数学勉強するわ」
と言って,2時間半も机に向かったのです。
親御さんは,泣いて喜んでおられました。
もちろん,これは一つのきっかけにすぎません。
でも,子どもは,
「自分はダメだ」と決めつけられていない。
「まだ変われる」と信じてもらえている。
そう感じた時に,
ふっと動き出すことがあります。
親が挨拶を,見返りを求めずに続ける。
その心の余裕が,
家庭の中に安心感を作ります。
点数ではなく,
自分そのものを認められている。
その安心感こそが,
子どもが動き出すための大切な燃料になります。
ただし,気合を入れすぎて,
「おーはっよーーう!」
と全集中してしまうと,
「今日のお父さん,なんか怖いんだけど……」
と,余計な疑念を抱かせてしまうところまでが,
熱心な親御さんの「あるある」かもしれません。
■ 朝は,動かす時間ではなく,整える時間
連休中こそ,
「勉強」という言葉を一度脇に置いてみませんか。
一日の始まりを,
最高の挨拶で整える。
勉強の話は,
夕食後や,少しリラックスしている時間でも十分です。
心が落ち着いている時の方が,
言葉は前向きに届きます。
その話,今する?
朝じゃないでしょ。
朝は,動かす時間ではありません。
整える時間です。
子どもと親,両方を。
明日,試してみてください。
「おはよう」だけで,いったん止めてみる。
その後,何も言わずに,少し様子を見てみる。
それだけで,
子どもの反応は少し変わるかもしれません。


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