第7回 その話,今する?朝じゃないでしょ――やる気を奪う「朝の一言」

オンライン家庭教師

ゴールデンウィークや休みの日。

「休みなんだから勉強しなさい」

親として,そう言いたくなる気持ちはよく分かります。
言っていること自体は,間違っていません。

でも,返ってくる言葉は,
なんとなく予想できます。

「今やろうと思ってたのに,やる気なくなった」

もちろん,親に悪気はありません

だからこそ,この問題はやっかいなのです。

問題は,内容ではありません。
タイミングです。

夫婦喧嘩の始まりと同じですね。(笑)

長年,リアルな教育現場で多くの子どもたちと向き合ってきて,
はっきり分かったことがあります。

朝は,子どもを動かす時間ではないということです。

では,朝は何のための時間なのか。

答えはシンプルです。

やらせるためではなく,
見極めるための時間です。

■ 「おはよう」は最高の診断ツール

伸びる子の家庭では,
挨拶を単なるマナーとは考えていません。

今日の子どもの心の状態を確認する,
小さな診断ツールとして使っています。

「あれ,今日は少し声が小さいな」
「目が合わないな」
「昨日より表情が重いな」

こうして,コンディションを静かに把握する。

親の仕事は,まずここまでです。

「おはよう」の直後に,
「今日は何時間やるの?」
「宿題は終わってるの?」
と聞きたくなる気持ちは,ぐっと心の中にしまっておきます。

朝一番で「義務」を突きつけられると,
子どもの表情から生気がすっと消えてしまうことがあります。

■ 安心感が,自走のエネルギーになる

もし,
「今日はやる気がなさそうだな」
と感じたら,どうすればよいのでしょうか。

説教でも,強制でもありません。

おすすめは,
「時間ではなく,やる個数」と,
やめる権利」をセットで提案することです。

たとえば,
「計算,3問だけやってみない?
そこで気が乗らなかったら,やめてもいいよ」

不思議なことに,
これで1ページやり遂げてしまう子は少なくありません。

そんな時は,最大の賛辞を送ります。

ただし,ここで,

「その調子で次も!」

と追い込まないことが大切です。

ここで欲を出すと,
子どもは「結局やらされた」と感じてしまいます。

せっかく自分で動き始めた気持ちが,
元に戻ってしまうのです。

もし区切るなら,

「今日はここまでにしよう。
その代わり,残りを何曜日にやるか,自分で決めてごらん」

このくらいがちょうどよいです。

「自分で決めた」

この納得感が,
次の自走を支えるエネルギーになります。

■ 自分そのものを認めてもらえる場所

子どもが動くか,止まるか。

その分かれ目は,
たった一言で変わることがあります。

今年,こんなことがありました。

テストの平均が10点ほどだったお子さんが,
初回レッスンの晩,自分から,

「数学勉強するわ」

と言って,2時間半も机に向かったのです。

親御さんは,泣いて喜んでおられました。

もちろん,これは一つのきっかけにすぎません。

でも,子どもは,
「自分はダメだ」と決めつけられていない。
「まだ変われる」と信じてもらえている。

そう感じた時に,
ふっと動き出すことがあります。

親が挨拶を,見返りを求めずに続ける。

その心の余裕が,
家庭の中に安心感を作ります。

点数ではなく,
自分そのものを認められている。

その安心感こそが,
子どもが動き出すための大切な燃料になります。

ただし,気合を入れすぎて,

「おーはっよーーう!」

と全集中してしまうと,

「今日のお父さん,なんか怖いんだけど……」

と,余計な疑念を抱かせてしまうところまでが,
熱心な親御さんの「あるある」かもしれません。

■ 朝は,動かす時間ではなく,整える時間

連休中こそ,
「勉強」という言葉を一度脇に置いてみませんか。

一日の始まりを,
最高の挨拶で整える。

勉強の話は,
夕食後や,少しリラックスしている時間でも十分です。

心が落ち着いている時の方が,
言葉は前向きに届きます。

その話,今する?
朝じゃないでしょ。

朝は,動かす時間ではありません。

整える時間です。

子どもと親,両方を。

明日,試してみてください。

「おはよう」だけで,いったん止めてみる。

その後,何も言わずに,少し様子を見てみる。

それだけで,
子どもの反応は少し変わるかもしれません。

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